「新規性喪失の例外」(特許法第30条)規定により、当資料を公開いたします。
本日発表した「階層型マルチAIコンセンサス・システム」の特許出願(※1)に続く本決定は、AIMQLが注力する高度な金融AIおよびリスク管理(RegTech)領域における技術的リーダーシップを明確にするものです。
■ 開発の背景:固定的なリスク管理の限界
従来の自動売買システム(EA)におけるTP(利確)とSL(損切り)の設定は、固定値、あるいはATR(Average True Range)のような単一のボラティリティ指標に基づくのが一般的でした。しかし、これらの手法では、複雑かつ急変する金融市場のダイナミクスや、取引シグナル自体の信頼度の変化にリアルタイムで対応することが困難でした。
また、AIを用いてTP/SLを決定する試みも存在しましたが、AIの判断が金融工学的に非合理な設定(例:リスクリワード比が1未満)となるリスクが課題でした。
■ 特許技術の概要:LLMを「制約付き最適化エンジン」として活用
AIMQLが開発した本技術は、大規模言語モデル(LLM)を単なる市場「予測」ツールとしてではなく、金融工学的に妥当な解を導き出すための高度な「制約付き最適化エンジン」として活用する点に最大の技術的特徴があります。
<図:本特許技術の概念図。「18項目の入力パラメータ」と「8項目の制約条件」に基づき、AI(LLM)が最適なTP/SL値を計算する。>
その独自性と進歩性は、以下の2点に集約されます。
1. 市場の多角的分析と「自己認識型」リスク管理(18項目の独自入力)
本システムは、AIモデルに対し、市場の多様な側面を捉える18項目から成る独自のパラメータ群を入力します。
- 伝統的指標: ATR(ボラティリティ)、サポート/レジスタンス、ADX(トレンド強度)など
- 市場の厚みと心理: VWAP(出来高加重平均価格)、POC(最頻価格帯)
- 外部環境: 流動性スコア、次の重要経済イベントまでの時間
- システムの内部状態(自己認識): 先行するAI群の「自信」を示すコンセンサススコア、データ品質フラグ
特に、システム自身の「自信」を入力パラメータとして利用する構成は、先行技術には見られない特徴です。これにより、システムが「自信がない」と判断した場合には自動的にリスク許容度を引き下げる(例:TPを浅く、SLを近く設定する)といった、高度な自己認識型のリスク管理を実現します。
2. 金融工学的な「制約条件付き最適化」(8項目の厳格なルール)
本技術の核心は、AIに対して以下の8項目を含む厳格な金融工学的ルールの範囲内でのみ、最適解を「計算」させる設計(制約付き最適化)にあります。
- リスクリワード比(RR)制約: RR比を必ず1.2〜3.0の範囲内に強制。
- S/R近接ルール: SLを直近のサポート/レジスタンスより必ず外側に設定。
- 判断不能(NONE)の禁止: いかなる状況でも、合理的な範囲で必ずTP/SL値を出力。
これらの制約は、AIが金融工学的に「破綻した解」を提示することを防ぐ技術的なガードレールとして機能し、常に合理的かつ安定したリスク管理を実現します。計算結果はMT4/MT5環境へシームレスに連携され、即座に発注に反映されます。
■ 今後の展開
AIMQLは、グローバル市場を前提としたニッチ戦略を推進しています。本特許技術を自社開発のEA基盤技術として活用するとともに、当社の事業戦略(v8.5)の中核である、プロップファームや金融機関向けの「AI×法務×SRE」統合型ソリューション(※3)における、高度なリスク管理モジュール(「盾」機能)として応用展開してまいります。
「単にAIを使う」のではなく、「AIをいかに制御し、金融工学的に妥当な解を導くか」という設計思想に基づき、AIMQLは今後も研究開発をリードし、世界の金融市場における技術的優位性を確立してまいります。
(※1)参考:AI MQL、金融システムの信頼性を再定義する「階層型マルチAIコンセンサス・システム」に関するコア技術群の特許出願を決定(2025年11月14日) (※2)出典:「自動売買システム(EA) 搭載『AIによる動的TP/SL調整機能』特許取得可能性に関する専門家調査報告書」 (※3)参考:AI MQL合同会社、世界初「AI×法務×SRE」統合型ソリューションのSaaS開発を開始(2025年11月12日)
■ AI MQL合同会社について
AI MQL合同会社は、MT4/MT5(MQL4/MQL5)と最先端のAI技術(GenAI、説明可能AI)の融合を専門とするフィンテック企業です。グローバル化を大前提とし、ニッチ戦略で世界のシェア確立を目指しています。高度なAIモデルの設計・実装から、MQLコードのテスト・実証、金融システムに特化したQA(品質保証)およびSRE(サイト信頼性エンジニアリング)まで、ワンストップで提供します。
- 会社名:AI MQL合同会社 (AI MQL LLC)
- 所在地:東京都港区
- 設立:2025年10月
- 事業内容:MT4/MT5へのAI組み込み開発、金融システム向けQA・SREサービス
- URL:https://ai-mql.com/
※ 当社は投資助言に該当する業務は一切行いません。
動的TP/SL調整メカニズム 図解ガイド
目次
基本コンセプト
動的TP/SL調整機能は、既存ポジションを保有中に逆方向のシグナルが発生した場合、ポジションをクローズせずにTP(利確)とSL(損切り)を調整することで、利益を確保しながら更なる値幅を狙う機能です。
動作条件
✅ 有効化条件(すべて満たす必要あり)
1. config.json の dynamic_tpsl.enabled = true
2. 既存ポジションが存在する
3. 逆方向のシグナルが発生
4. 保有時間 >= min_hold_minutes(デフォルト: 10分)
5. シグナルの確信度 >= min_confidence(デフォルト: 0.6)
6. コンセンサススコア >= min_cs(デフォルト: 2.0)
通常モード vs 動的調整モード
【通常モード: OPEN】
新規エントリー時のTP/SL設定
TP (Take Profit)
↑
| +18 pips
|
─────●───── エントリー価格: 154.674
|
| -12 pips
↓
SL (Stop Loss)
リスクリワード比: 1.50:1
【動的調整モード: MANAGE_OPPOSITE】
逆方向シグナル検出時のTP/SL調整
既存ポジション保有中
↓
逆シグナル発生
↓
条件チェック(保有時間・確信度・CS)
↓
✅ 条件満たす → TP/SL動的調整(ポジション継続)
❌ 条件不足 → 新規OPEN(通常処理)
BUYポジション保有中の調整
シナリオ: BUY保有中に逆SELL信号
【調整前】
TP: 154.854 ────┐
│ +18 pips
現在価格: 154.780 ──●── BUYエントリー: 154.674
│ -12 pips
SL: 154.554 ────┘
↓↓↓ 逆SELLシグナル発生(CS=2.5, 確信度=75%) ↓↓↓
【調整後】
TP: 154.800 ────┐ ← TPを早期利確に調整
│ +10.6 pips
現在価格: 154.780 ──●── BUYエントリー: 154.674
│ +10.6 pips
SL: 154.780 ────┘ ← SLを引き上げ(利益確保)
元SL: 154.554から+22.6 pips上昇
調整ロジック
# BUY保有中の調整ルール
if 既存ポジション == "BUY" and 逆シグナル == "SELL":
# SLを引き上げ(現在価格付近まで)
new_SL = max(current_SL, 現在価格 - 小さなバッファ)
# TPを早期利確に調整(逆シグナルの強さに応じて)
if CS >= 3.0 and 確信度 >= 0.8:
new_TP = 現在価格 + (現在価格 - entry_price) * 0.5 # 含み益の50%程度
else:
new_TP = 現在価格 + (現在価格 - entry_price) * 0.8 # 含み益の80%程度
期待効果
✅ メリット
・含み益を確保(SLを損益分岐点以上に)
・トレンド継続時は更なる利益
・早期TPで利益確定の確率向上
⚠️ リスク
・価格が急反転した場合、調整後SLで決済
・元のTPより近い位置での利確
SELLポジション保有中の調整
シナリオ: SELL保有中に逆BUY信号
【調整前】
SL: 154.854 ────┐
│ +18 pips
現在価格: 154.574 ──●── SELLエントリー: 154.674
│ -12 pips
TP: 154.554 ────┘
↓↓↓ 逆BUYシグナル発生(CS=2.8, 確信度=70%) ↓↓↓
【調整後】
SL: 154.580 ────┐ ← SLを引き下げ(利益確保)
│ +0.6 pips 元SL: 154.854から-27.4 pips下降
現在価格: 154.574 ──●── SELLエントリー: 154.674
│ -12 pips
TP: 154.550 ────┘ ← TPを早期利確に調整
調整ロジック
# SELL保有中の調整ルール
if 既存ポジション == "SELL" and 逆シグナル == "BUY":
# SLを引き下げ(現在価格付近まで)
new_SL = min(current_SL, 現在価格 + 小さなバッファ)
# TPを早期利確に調整(逆シグナルの強さに応じて)
if CS >= 3.0 and 確信度 >= 0.8:
new_TP = 現在価格 - (entry_price - 現在価格) * 0.5 # 含み益の50%程度
else:
new_TP = 現在価格 - (entry_price - 現在価格) * 0.8 # 含み益の80%程度
判定フロー
┌─────────────────────────────┐
│ シグナル発生 │
└──────────┬──────────────────┘
│
▼
┌─────────────┐
│ ポジション │ NO
│ 保有中? ├─────→ 通常OPEN処理
└──────┬──────┘
│ YES
▼
┌─────────────┐
│ 逆方向 │ NO
│ シグナル? ├─────→ 通常OPEN処理(同方向なら)
└──────┬──────┘
│ YES
▼
┌─────────────────────────┐
│ 保有時間チェック │ NO
│ >= min_hold_minutes? ├─────→ シグナル無視
└──────┬──────────────────┘
│ YES
▼
┌─────────────────────────┐
│ 確信度チェック │ NO
│ >= min_confidence? ├─────→ シグナル無視
└──────┬──────────────────┘
│ YES
▼
┌─────────────────────────┐
│ コンセンサススコア │ NO
│ >= min_cs? ├─────→ シグナル無視
└──────┬──────────────────┘
│ YES
▼
┌─────────────────────────┐
│ Phase-TPSL呼び出し │
│ (MANAGE_OPPOSITE mode) │
└──────┬──────────────────┘
│
▼
┌─────────────────────────┐
│ GPT-5-miniが動的TP/SL │
│ を計算 │
└──────┬──────────────────┘
│
▼
┌─────────────────────────┐
│ 計算結果検証 │
│ - SL改善チェック │
│ - TP位置妥当性 │
└──────┬──────────────────┘
│
▼
┌─────────────────────────┐
│ MT5に修正命令送信 │
│ (MODIFY_TPSL) │
└─────────────────────────┘
具体例
例1: BUY保有中に中程度の逆SELLシグナル
状況
- エントリー: 154.674 (BUY)
- 現在価格: 154.780 (+10.6 pips含み益)
- 元TP: 154.854 (+18.0 pips)
- 元SL: 154.554 (-12.0 pips)
- 保有時間: 15分
- 逆SELLシグナル: CS=2.5, 確信度=70%
判定
✅ 保有時間: 15分 >= 10分
✅ 確信度: 70% >= 60%
✅ CS: 2.5 >= 2.0
→ 動的調整モード発動
調整後
新TP: 154.800 (+12.6 pips) ← 早期利確(元TPより6 pips手前)
新SL: 154.770 (+9.6 pips) ← 利益確保(損益分岐点+9.6 pips)
RR: 約1.0:1
【効果】
・最低でも+9.6 pipsの利益確保
・TPまで2.0 pips(到達しやすい)
・逆シグナルが正しければSLで+9.6 pips確定
・シグナルが外れてもTPで+12.6 pips獲得
例2: SELL保有中に強い逆BUYシグナル
状況
- エントリー: 154.674 (SELL)
- 現在価格: 154.520 (+15.4 pips含み益)
- 元TP: 154.494 (+18.0 pips)
- 元SL: 154.794 (-12.0 pips)
- 保有時間: 22分
- 逆BUYシグナル: CS=3.2, 確信度=82%
判定
✅ 保有時間: 22分 >= 10分
✅ 確信度: 82% >= 60%
✅ CS: 3.2 >= 2.0
→ 動的調整モード発動(強シグナル)
調整後
新TP: 154.510 (+16.4 pips) ← 積極的早期利確(含み益の50%位置)
新SL: 154.530 (+14.4 pips) ← 大幅利益確保
RR: 約1.0:1
【効果】
・最低でも+14.4 pipsの利益確保
・強い逆シグナルなので積極的利確
・TPまで1.0 pip(ほぼ確実に到達)
・逆シグナルが正しければSLで+14.4 pips
・シグナルが外れてもTPで+16.4 pips
例3: 条件不足で調整されない例
状況
- エントリー: 154.674 (BUY)
- 現在価格: 154.710 (+3.6 pips含み益)
- 保有時間: 8分 ← 閾値10分未満
- 逆SELLシグナル: CS=2.3, 確信度=68%
判定
❌ 保有時間: 8分 < 10分
→ 動的調整モード発動せず
→ シグナルを無視して既存ポジション継続
ログ出力
ℹ️ 保有時間8.0分 < 10分(逆シグナル無視)
設定パラメータ
config.jsonでの設定
"dynamic_tpsl": {
"enabled": true, // 機能ON/OFF
"mode": "conservative", // 動作モード
"min_hold_minutes": 10, // 最小保有時間(分)
"min_confidence": 0.6, // 最小確信度
"min_cs": 2.0 // 最小コンセンサススコア
}
パラメータ調整ガイド
保守的な設定(安全重視)
{
"min_hold_minutes": 15, // 長めに保有してから判断
"min_confidence": 0.7, // 高い確信度を要求
"min_cs": 2.5 // 強いコンセンサス必要
}
積極的な設定(機会重視)
{
"min_hold_minutes": 5, // 早期に調整開始
"min_confidence": 0.55, // やや低い確信度でも対応
"min_cs": 1.8 // 緩いコンセンサス閾値
}
プロンプト設計(Phase-TPSL)
動的TP/SL計算時は、Phase-TPSLプロンプトに以下の情報が渡されます:
mode: "MANAGE_OPPOSITE" # OPENではなくMANAGE_OPPOSITEモード
current_position: {
"direction": "BUY",
"entry_price": 154.674,
"current_tp": 154.854,
"current_sl": 154.554,
"ticket": 12345
}
# 逆シグナル情報
direction: "SELL"
cs: 2.5
final_confidence: 0.75
GPT-5-miniへの指示(重要部分)
【MANAGE_OPPOSITE時の重要な制約】
⚠️ 以下のルールを厳守してください:
1. action="MODIFY_TPSL" のみ許可
2. SLは既存ポジションより悪化させてはいけません:
- BUY保有中に逆SELLシグナル → SLを上げる(利益確保)
- SELL保有中に逆BUYシグナル → SLを下げる(利益確保)
3. TPは逆方向シグナルの確信度に応じて調整(早期利確)
4. 逆方向シグナルが弱い場合はTP/SLを据え置きも選択肢
リスク管理
✅ 利点
- 利益確保: 含み益を確定し、最悪でも損失を防ぐ
- 柔軟性: トレンド継続時は更なる利益を狙える
- リスク軽減: 強い逆シグナル時に早期退出
⚠️ 注意点
- 早期利確: 元のTPより手前で決済される可能性
- ウィップソー: 価格が急変動した場合、調整後SLで損切り
- 頻繁な調整: 条件が緩すぎると過剰に調整される
推奨運用
✓ 保守的な設定から開始(min_confidence=0.7, min_cs=2.5)
✓ バックテストで最適値を探す
✓ 市場状況に応じて調整
✓ ログを定期的に確認し、調整頻度を監視
まとめ
動的TP/SL調整は、逆方向シグナル発生時に利益を確保しつつ、更なる値幅を狙うための高度なリスク管理機能です。
通常モード(OPEN)
↓
エントリー
↓
(保有中)
↓
逆シグナル検出
↓
条件チェック
↓
動的調整(MANAGE_OPPOSITE)
↓
SL引き上げ/引き下げ → 利益確保
TP早期化 → 利確確率向上
適切な設定と監視により、リスクを抑えながら利益を最大化できます。